九 風花の思い
失いたくない、そんな思いが日増しに募っていく。終わる予感を見なければ、こんな思いには駆られまい。
文章 薄暮original
八 緋寒桜
眩いものすべてから身を遠ざけた。誰もいなくなった暗がりを愛そうとして、結局できなかった。
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七 冬蝶の夢
手の届かないものを数えて暮らすことに慣れてしまった。慣れたと、思い込みたかった。
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六 繊手に初紅葉
どうかいつまでもこのままでと願うのは、彼にとって酷なことだろうか。
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五 空蝉・夏の果て
雨の降り止んだ日に、ようやく本当の彼に出会えた気がした。
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四 空蝉・水中花
降りしきる雨の下で手繰り寄せたその身体の冷たさを、俺はきっと生涯忘れることはできないだろう。
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三 空蝉・暗雨
あの日雨が降らなければ、彷徨い込まなければ、今もここで笑っていられたか?
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二 風薫る
たとえ身を壊すとしても、それは彼にとってなくては生きられないものなのだろう。
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一 陽春の出会い
出会いに理由などない。それでも、その日そこにいたことがたしかに人生を変えたのだ。
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序 春光に山笑いて
花の下で生きると決めた日のことを思い出す。仰ぎ見た空から、彼の好きだった色が降りそそいでいた。
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